Mindへようこそ

 映画「2001年宇宙の旅」のディスカバリ号に搭載されたスーパーコンピュータHAL9000は人間と普通の言葉で会話をすることができました。難しいコンピュータ向き言語を習得しなくても誰にでも簡単に使えるコンピュータ。21世紀の舞台で活躍するHALはこの理想をみごとに体現したマシンといえます。

 コンピュータに与える指令を1や0の集まりの無味乾燥なものによらず、なるべく人間の世界に近い言葉で与えようとする試みは、そのままプログラミング言語の発展の歴史でもあります。
 最も高度な、あるいは最も理想的なプログラミング言語というものは、それを使う人間の母国語でプログラムを記述できるものであると言えるでしょう。自然言語−英語とか日本語のようなもの−にはコンピュータとの相性とでも言うべきものが存在します。欧米語はかなりコンピュータとの相性が良く、日本語はかなり相性の悪い言語とされています。この困難の為に「日本語でプログラムを書く」というプログラミングの理想は長い間、夢の話としてかたられて来ました。

 Mindは日本語の自然言語とプログラミング言語とのインターフェースを徹底的に研究した結果、この夢を現実の物とすることに成功しました。抜群の開発効率と各種機能を持ちながら、簡単な操作と分かりやすい文法により、誰でも簡単にこの言語をマスターすることができます。
 日本語でプログラムを記述する方式であるにもかかわらず、直接に機械語へ変換する方式である為、実行速度・取り扱いデータ量など、汎用コンパイラとしての実用性を持っています。C言語のような細かい記述も可能で、Prolog言語のような未来的なアプリケーションの開発にも向いています。今までのコンパイラには無かった対話形式による実行も支援しており、言語の習得を非常に短期間に終わらせることができます。

 高度な日本語文字列の操作、高度なファイルアクセス、通信など多くの機能を装備し、すぐなにかの役に立つ実用的なプログラムを作ることができます。この素晴らしいツールをぜひあなたのソフト開発にお役立て下さい。


本節は、日本語プログラミング言語「Mind」(1985年リリース)に添付されていたマニュアルのまえがきをそのまま掲載したものです。



 <<お使いになる前に>>
本マニュアルは、Mindコンパイラのインストール方法などソフトウェアの使い方を解説をしたものです。プログラムの書き方(文法的なこと)については、Mind プログラミングマニュアル をお読みください。